高齢者の消費者被害について

弁護士 井上 泰

2014年5月19日

 高齢者がオレオレ詐欺の被害に巻き込まれて大きな被害を受けているニュースが連日流れています。
 手口はどんどん進化しており、まさか自分がと思っていても、愛する息子や孫のことを思う気持ちにつけ込んで新たな手法を巧みに使ってくる犯罪者の手口に欺されてしまう事例も多く発生しています。
 刑事事件としての検挙も従前に比べれば増えていますが、詐欺で相手が刑事責任を負うことになっても、欺し取られたお金を取り戻すことは極めて困難です。従って、緊急に何らかの理由で入金を依頼するような連絡はまず疑ってかかり、お金を必要とする親族本人に直接連絡をするのと合わせて必ず信頼できる人に相談してから対応する心がけが必要です。
 ところで、同じ電話での悪質な勧誘による被害として、数年前、高齢者の方が電話で未公開株取引の勧誘にあい、老後資金のうちの多くの金額を、その購入に当てたという被害の相談を受けました。
 そもそも未公開株の取引には厳しい取引制限がかかっており、到底、正当な取引とは考えられなかったことから、その販売会社自体の登記の有無や現地調査を行い、所轄の警察に詐欺による被害届を出すなどして対応しましたが、残念ながら欺し取られた現金の返還には至りませんでした。
 事件後、ご本人もこのような訪問や電話勧誘による投資話などには気をつけることを家族の方と確認していたのですが、その後、二次被害とも思われる電話勧誘やDMによる投資の勧誘が来るようになりました。
 海外の不動産事業の有限責任投資組合、発展途上国の事業に関するファンド、海外先物取引など、さまざまな投資を誘い、銀行の預金と比べて大きな利回りを謳って勧誘がなされており、この方としては最初の被害を取り戻したいというお気持ちも手伝って、再度、実体のない海外の事業に対して投資する契約をさせられようとしていました。
 出資金を捻出するため銀行に行くところで不信に思った家族が気がつき、業者が訪問するところに待ち伏せするなどして幸い二次被害は未然に防げたのですが、このように一度被害に遭うと、そのリストがこれらの悪質業者に事実上出回ったりするなどして、何度も被害に遭うことも少なくありません。

 一人暮らしや高齢のご夫婦のみで暮らしている場合に限らず、仕事で忙しい同居の家族の目を盗む形で悪質な電話勧誘や訪問による勧誘は絶えず行われる可能性があります。
 どうか、このような被害に遭わないようにご本人ご家族ともに気をつけていただきたいとおもいます。
 ご本人の状況によっては、将来的にどう拡大被害を防ぐかが大事な課題となることも多く、成年後見制度の利用なども視野にいれて対策を考える必要があります。
 もし心配なことがあれば、速やかに弁護士などの法律専門家や消費生活センター等に相談いただければと思います。

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