蝶々夫人とメアリーカサット展

 

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

さて、バタバタしているうちに年末そして新年を迎えてしまいました。今更ですが、昨年のうちに書けなかった「2016年の感動」を、書き留めておきたいと思います。

まず、音楽編です。

昨年の9月に、「勝山藍さん」というソプラノ歌手の方のコンサートに行きました。柔らかく透明な美しいソプラノで、どの曲も素晴らしかったのですが、圧巻だったのは「蝶々夫人」でした。

勝山さんは長崎ご出身なので、思い入れもひときわだったのでしょうか。前奏が始まった瞬間から顔つきが違い、歌い出された瞬間、私はなぜかどっと涙が出てきてしまいました。

本当に蝶々夫人が乗り移ったかのような素晴らしい歌唱で、歌い終わられても私の涙は止まりませんでした。歌を聴いて泣くなんて自分でも全く予期しておらず、驚くと共に、音楽の力のすごさを感じさせられました。

次に、絵画編です。

同じ事務所の栗山弁護士もブログに書いていた「メアリー・カサット展」、私も最終日に行きました(栗山弁護士と一緒に行ったわけではありません)。

展覧会では、メアリー・カサットのみではなく、同時代の女性画家3人の絵も、少ないながら展示されていました。

メアリー・カサットも勿論素晴らしかったのですが、私が1番心惹かれた絵は、「マリー・ブラックモン」という女性画家の「お茶の時間」という題の、木洩れ日の中で庭でお茶を飲む女性の絵でした。もともとこの画家のことを知らず、何の先入観もなくこの絵を見たのですが、見た瞬間に、ハッと胸が締め付けられるような、これまた涙が突然出てきそうな不思議な感覚を覚えました。絵画の中に吸い込まれ、柔らかい陽光に自分も包まれているような、木々のざわめきさえ聞こえてくるような、そんな錯覚さえ感じさせる美しい絵でしたが、女性の表情からはたとえようのない深い憂いが伝わってきたのです。

絵を見た後、解説に触れたところ、この画家は、10代でその才を発揮したものの、結婚後、同じ芸術家であった夫に制作を阻まれ、この「お茶の時間」を書いた翌年についに絵筆を折り、その後は隠遁者のような生活を送り、生涯を終えたとのことでした。

生涯独身を貫きながら、数々の母子像を残したメアリ-・カサット、マネの弟と結婚し、出産もしたベルト・モリゾ、早世したエヴァ・ゴンザレス、そして結婚によって手折られたマリー・ブラックモン。

現代より更に、女性が夢を実現することが著しく困難であったであろう時代に活躍した4人の女性画家達の、画風の異なる絵画を堪能すると共に、それぞれの人生にも思いを馳せた展覧会でした。

「続、音楽と絵画編」「書籍編」は、また近日中にアップします。

                                                                      弁護士 野呂芳子