『バラカ』

バラカとは、ガラスのブランドでもなく、賭博でもなく、桐野夏生の最新小説のタイトルで、主人公の少女の名前です。少女は、人身売買で日本にやってきて、原発事故後の東日本に放り出されましたが、おじいさん決死隊の一人に助けられて、その愛情のもと、たくましく生きていきます。原発をテーマにした小説ということで、面白そうだったので、早速購入し、一気読みしました。

福島第一原子力発電所の事故の後から連載が始まった小説ということで、実際の事故をベースに書かれたものです。放射能による被害は東日本全体に広がり、オリンピック開催地は大阪だったりしますが、決して大袈裟ということはなく、こういう状況も現実的にあり得ただろうと思います(現に、福島では5年経過した今でも仮設住宅暮らしの方が多数いらっしゃいます)。

バラカや仲間、支援者たちが闘う原発推進勢力が見えにくく、その勢力によって謎の死を遂げる人々があまりにも多かったり、あまりにも特異な人物が登場したりと、描かれている内容自体は現実離れしているところがかなりあるのですが、それゆえ、面白く一気に読みました。見えない力が働くというのは我が国にはよくありますし、人身売買なども含めて、社会問題を象徴的に鋭く描いているのではないかと思います。

気軽に楽しく読める本なので、まあまあお勧めです。

弁護士 栗山博史