よく晴れた冬の日に今年を振り返り・・・

毎年ながら、あっという間に年末です。この1年も色々本を読みましたが、一番心に残っているのは、年初に読んだ中島京子さんの「小さいおうち」です。読後感は、「涙がきれいな宝石になりきらきらと輝きながら落ちてくる。」ような、「人の心の中にある、誰も侵すことのできない大切な宝物」にそっと触れたような、そんなイメージでしょうか。「ドロップス」という歌も連想しました(その連想は私だけのような気もしますが)。まもなく映画になるようですね。読んだ小説の映画は、自分の中にできあがったイメージが壊れてしまいますのでいつも見ないのですが、原作に出てくる美しい若奥様の役が松たか子さんというのは、ぴったりだと思いました。

反対に、ちょっと苦手かなと思ったのは、「嫌ミス」と呼ばれるものでした。読んでいる時はそれなりに引き込まれるのですが、やはり読後感が・・(好きな方にはごめんなさい)。若い頃であれば、もっとこうした作品類に惹かれたであろうと思います。しかし、それなりに(相当に?)、生きてきた時間も長くなり、自分も含め、人が常に善ではいられないことは十分にわかりました。だからこそ、そうした負の部分について露悪的であったり冷笑的であったりする作品よりも、人の弱さも愚かさも含めてその存在を慈しみ、人という存在やその生を愛おしもうとするような心根のほうに、今はより惹かれます。

昭和初期に夭折した詩人の八木重吉さんも、「どこかに「本当に美しいもの」はないか。」と歌っておられました。青春期とはまた違った重さで、八木重吉さんが「美しいもの」を求めた心情にしみじみと共感するのです。

                                                         弁護士 野呂芳子