永井するみさんについて

 先日、私が割合好きな作家であった永井するみさんの著作名を確認したいと思い、ネットで検索したところ、約2年前に、49歳の若さでお亡くなりになっていたことを知りました。

 永井さんは、東京芸術大学の音楽学部を中退し、北海道大学の農学部を卒業され、日本IBM等に勤務されたという異色の経歴を持っておられた方でした。初期のころは、稲作をテーマにした農業ミステリーともいうべき「枯れ蔵」、音楽を扱った「大いなる聴衆」、コンピューターを扱った「ミレニアム」など、他の作家の方にはなかなか書くことができない作品を次々と発表されておられました。「大いなる聴衆」は、天賦の才を持つものと持たざるもの、その残酷さ、双方に起こる悲劇を生々しく感じさせられ、特に感銘を受けたことを憶えています。

 途中からは、いわゆる「普通の恋愛小説」が多くなったように感じられ、暫く遠ざかってしまいましたが、永井さんにしか書けない独自の世界を持っておられた方ですから、もっとたくさんの作品に触れたかったと、とても残念です。

 ご冥福をお祈りします。                                        弁護士 野呂芳子